農業遺産 傾斜地集落の景観を守る農業 

田口真示さん(東みよし町)

泉野集落は東みよし町の平野部が望める山間部にあります。

泉野から見た景色

ここで県外からUターンで戻り農家をはじめたのが田口真示さんです。
田口さんは愛媛県や栃木県で電気や精密機械関連の会社に勤めていましたが早期退職して3年前に故郷の東みよし町に帰ってきました。
もともと実家が農業をしていたため、その畑で一年を通して色々な野菜を作っています。

(モロッコインゲンを収穫する田口さん)

 

田口さんは、採れたての野菜を地元の産直などで販売しているほか、東みよし町内にあるカフェ「みかも喫茶」にも卸しています。

このカフェでは、田口さんが毎朝収穫した新鮮な野菜を使ったサラダやパスタなどを提供していて、農業遺産の野菜の味を楽しめるお店です。

特にたくさんの種類の野菜が入ったパンサラダは、野菜の美味しさがよくわかると人気メニューになっています。

みかも喫茶・菜の花のパスタとパンサラダ

田口さんは自宅で農家民宿もしていて、都市部の中学生や高校生の修学旅行や一般の旅行者の受け入れも行なっています。
お客さんには、昔ながらの農具を使ったり野菜の収穫をしたりと傾斜地での農業の体験をしてもらっています。

じゃがいもを植える

一番問題になっているのが、野生動物の被害です。シカやイノシシなどの被害がこの泉野地区でも多く、田口さんは畑の周りに網や電気柵を張り巡らせています。
山間部での農業を続けていくためには、鳥獣対策や、斜面のために機械が使えないなど多くの問題があります。
田口さんは、「こういった地域で新しく農業をしたいと考える人たちに、自らの経験や知識を共有していけたら」と考えています。

傾斜地集落の美しい景観は、農家の人たちの日々の努力で保たれています。