徳島剣山世界農業遺産推進協議会とは

徳島県西部の剣山を有するにし阿波地域(三好市・美馬市・つるぎ町・東みよし町)は、国内有数の中山間地域を構成し、斜度の高い傾斜地を広く有しております。山々の斜面にはりつくように形成された集落、田畑、採草地、里山の美しい景観とそこで営まれる自然と調和した人びとの暮らしは「日本の原風景」とも称されています。当地域で暮らす人びとは、ときには斜度30度以上にもなる急傾斜地という厳しい環境で農業を営むために、様々な知恵や技術を培い、土地利用の工夫をおこなってきました。また、こうした在来の知恵、技術、土地利用の工夫によって、この地域特有の豊かな農文化や多様な動植物が育まれてきました。しかし、現在この魅力ある農業とそれに関わる豊かな文化や生態系は、過疎高齢化、耕作放棄、鳥獣害など様々な現代的課題に直面し、その存続が危機にさらされています。

こうした厳しい状況のなか、これら農業とそれに関わる文化、生態系、景観を「にし阿波の宝」として保全し、次世代に継承していきたい、また、それらを地域の未来を明るいものにする潜在力として持続的に活用していきたいという思いから、2014年7月、三好市、美馬市、つるぎ町、東みよし町、JA美馬、JA阿波みよしが主体となり、「徳島剣山世界農業遺産推進協議会」を発足させました。当協議会は徳島剣山系の伝統農業「にし阿波の傾斜地農耕システム」の保全・継承活動や、それに伴う地域の活性化を図るための活動をおこなっています。

2018年2月には、徳島県・徳島大学・農研機構が正会員として協議会に加入しました。2018年7月には、一般社団法人そらの郷・地域商社阿波ふうど・美馬青年会議所・阿波池田青年会議所が正会員に、各地域の農業振興団体が賛助会員として協議会に加入しました。
2018年3月9日には、「にし阿波の傾斜地農耕システム」を有する徳島県にし阿波地域が、国連食糧農業機関(FAO)の提唱する世界農業遺産(GIAHS)』に認定されました。


今後も住民のみなさまをはじめとする地域の多様な主体と協働しながら、文字通り「地域一丸」となって活動に取り組んで参ります。