
地域を推す菓子作り サルナシシフォンケーキ
きみいろ(三好市)
山あいに自生し、祖谷のかずら橋にも使われてきたシラ口カズラ。その木に実る果実「さるなし」はキウイの仲間でありながら、強い酸味と粘りをもつ個性的な味わいが特徴です。ビタミンCが豊富で“スーパーフード”ともいわれる栄養価の高い果実ですが、扱いが難しく、加工品も多くはありませんでした。

そんな地域の素材に光を当てたいと立ち上がったのが、三好市で菓子店「きみいろ」を営む渡辺涼香さん。さるなしは水分量や熟し具合によって状態が変わり、思うように膨らまないこともありました。何度も試作を重ね、配合を細かく調整しながらたどり着いたのが、クリームチーズと合わせたシフォンケーキでした。独特の風味をやわらげつつ、果実の存在感をしっかり感じられる一品です。


渡辺さんの菓子作りは、地域の食材を応援する「推しかつ」。扱いづらい素材に手間をかける姿勢は、急傾斜地で作物を育てる農家の営みとも重なります。
さるなしのシフォンケーキは、農業遺産の素材を次の世代へとつなぐ小さな証。地域の宝を“推す”ことから、新たな価値とつながりが生まれています。





