若い夫婦が営む秘境宿 当時の暮らしを大切につなぐ

中山 伸介さん・真理さん、日裏 久美子さん、森脇 春由さん(三好市東祖谷/古民家やど紺屋-こうや-)

三好市東祖谷久保。徳島市内から車で二時間半。道は整備されているが、秘境と言っても過言ではないこの地に、若い夫婦が始めた宿がある。ここは、真理さんのお父さんが生まれそだった家。母・久美子さんも残したいと思うものの「自分が住むのはちょっと…」と、考えていた頃、娘ふうふうがここに移り住むことを決意。
「本当はもう少し年を重ねてから農泊を始めようと思っていましたが、ずいぶん早くなりました」と、中山さん夫妻。
農業は祖父・春由さんに教えてもらいながら、手探りで今の生活を始めた。家は大幅にリフォームしたものの、内側から見える見事な茅葺をはじめ、趣ある姿はなるべく残した。この家で、30年ほど前まで葉タバコの生産をしていたというから驚きだ。
「もう今までの生活には戻れませんね」
「畑の向き・不向きも少し分かってきました。毎日が発見の連続です」
そういう二人は、不便を楽しんでいるかのよう。昔は当たり前だった、次の世代が集落を繋ぐという姿。中山さん夫妻のおかげで、しばらくここは守られそうだ。

約120年前に建てられた立派な家。2019年春、国の登録有形文化財にも指定された。

昔ながらの手法で数々の保存食を作り、宿泊者に提供。

 

●古民家やど 紺屋―こうや―

住所:徳島県三好市東祖谷久保311
TEL:080-6378-8984