生物と植物の宝庫
「にし阿波」の暮らしには、遺伝資源を守る知恵がある。
貴重な遺伝資源を伝える
「にし阿波」の雑穀は、東アフリカで食用とされるシコクビエなど40系統にも上ります。ソバやトウキビ、果樹や自家製のお茶、伝統野菜など、多様な在来品種が日々の食生活を支えます。
この地では雑穀や野菜の原種に近い種子が、それぞれの農家で採取保存されてきました。これらの種は、一度途絶えると復活は難しいとされています。そこで貴重な遺伝資源を継承するために、祖谷雑穀生産組合が設立されました。
人の手で守られてきた生物多様性
カヤを採取するための❝カヤ場❞には、希少なシコクフクジュソウをはじめとした342種類の植物が確認されています。また、ハイタカなどの希少種をはじめ28種の鳥類、絶滅危惧種を含む241種もの昆虫、哺乳類9種が生息しています。
カヤを定期的に刈り取ることで、背の低い植物にも日光がよく当たり、多様な植物が生育する環境が整えられています。また、鳥たちは獲物を見つけやすくなり、貴重な生態系が守られています。自然環境に人の手が入ることで、生物多様性が保たれてきたのです。