伝統と自然を守る

土壌環境を改善する技は、世界の山村農業を救う知恵となる。

コエグロ

「にし阿波の傾斜地農耕システム」を象徴するものの一つは❝コエグロ❞です。刈り取ったカヤを円錐形に積み上げて乾燥させ、細かく刻んで畑に入れることで、土の肥やしとなり、土砂の流出を防ぎます。雑草を抑え、冬の寒さや夏の暑さを和らげ、乾燥を防ぐ効果もあります。
カヤとは、ススキやチガヤなどを指す言葉で、かつての農村には❝カヤ場❞と呼ばれる採草地があり、家畜のエサ(ハゴ)や田畑の肥料(コエ)に使い、かやぶき屋根にも使用しました。「にし阿波」には、今も❝カヤ場❞があり、農耕に使用しています。

野鍛冶が作る伝統農具

傾斜地で農業を営むためには、特別の技も有します。乾いたカヤを細かく刻み畑に敷き込み、土の流失も抑えます。下がった土は、❝サラエ❞という伝統の農具を使い下から上へ土を戻す❝土上げ❞を行います。畑には礫と呼ばれる小石が多く見られるため、砕いて土を作る独特の農具を使います。これらの道具は市販されているものではありません。傾斜地の角度に合わせた農具を❝鍛冶屋❞とよばれる集落の野鍛冶がオーダーメイドで作ってきました。

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知識システムと適応技術
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